- Ankerの3Dプリンタはどんな製品なの?
- 「AnkerMake M5」のおすすめポイントは?
- 高速3Dプリンタだと出力の精度が高いって本当?
モバイルバッテリーや充電器でおなじみの「Anker」から、初の3Dプリンタ「AnkerMake M5」が発売されます。どのメーカーでも「初物」は期待外れだったり、不具合が多かったりして、ちょっと不安ですよね。

3Dプリンタで過去500個以上を制作している いつもの匠 です。
あのAnkerの高速3Dプリンタということで、2022年末にクラファンで手に入れました。そこから使いこんでいますが、もの凄い3Dプリンタでした。
筆者はクラウドファンディングに投資して、2022年12月に先行ゲットできました。それから2ヶ月経ち、「AnkerMake M5」 で数十個の3Dデータを出力しています。
この記事では筆者の利用経験から得た、「AnkerMake M5レビューとして、高速3Dプリンタで生産性が2倍以上になった」話を率直に紹介します。
【結論】AnkerMake M5の長所と短所
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▶ 筆者が AnkerMake M5 で製作した3Dプリント品はこちら
AnkerMake M5を既に知ってる人は
もし「手間と時間がかかっても、まずは安い3Dプリンタが欲しい」と考えるなら、以下の3Dプリンタをチェックすると良いでしょう。
AnkerMake M5で出力時間を半分にできる
筆者がAnkerMake M5を実際に使用した結論はこちらです。


強力な3Dプリントエンジンによる高速出力が AnkerMake M5 最大の特徴です。
最大速度5倍をうたっていますが、実際には停止したり、遅くなったりします。そのため、平均2〜3倍の速度での出力が実情です。



手持ちの3Dプリンタと比べて、ホントに半分の時間で出力できて感動したよ
一般消費者向けで10万円を下回る価格、かつ実際に出力時間が半分以下にできる3Dプリンタは、現段階では日本市場にありません。(猛者がチューニングした3Dプリンタは除く)
AnkerMake M5のクラウドファンディングは、集金額888万ドルで記録を更新しました。この結果は、この種類のクラウドファンディングで最も成功したプロジェクトになっています。また、日本でも筆者のツイートが14万回も見られ、その注目度の高さを証明しました。
モバイルバッテリーや充電器で信頼が厚い Anker が、3Dプリンタを出すというだけで大いに盛り上がりました。



日本の家庭用3Dプリンタは、今まで比較的マイナーな企業の製品ばかりだったからね。ここで人気のAnker社が参入したのは大きいよ。
これらを踏まえ、高速3Dプリンタが欲しいのであれば、必ず検討すべき製品です。筆者がTwitterで行った調査では、8割の人は「AnkerMake M5」が欲しいと答えています。(「欲しくなった」+「もう買った/買うことは決めた!」+「欲しいけど買えない」の合計)



こんなに注目度の高い3Dプリンタが発売されるのは嬉しい!
ただし、AnkerMake M5は、すべての面でオールマイティな3Dプリンタではありません。3Dプリンタに約10万円という価格は、初心者にはハードルが高く感じるでしょう。また、電源ONの間は常にファンの音が聞こえる製品特性は、少し煩わしく感じるかもしれません。



サイズが大きく重いから、持ち歩きなんてもってのほか
それでも、筆者はAnkerMake M5が日本3Dプリンタ市場を席巻すると推測しています。なぜなら、日本の公式サイトには記載がありませんが、2023年夏にマルチカラー/マルチ素材の出力キットも投入されるからです。マルチカラー高速3Dプリンタが手軽に家庭で使えるようになるのは、AnkerMake M5の大きなメリットになるはずです。
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なお、AnkerMake M5はそれなりに高価です。もし「手間と時間がかかっても安価な3Dプリンタが欲しい」と考えるなら、以下の記事から Creality Ender-3シリーズをチェックすると良いでしょう。


AnkerMake M5 外観と主なスペック


AnkerMakeは、Ankerの新しい3Dプリンタブランド名です。この AnkerMake ブランドとして、初めて市場に投入する3DプリンタがAnkerMake M5です。
Ankerが3Dプリント業界に初投入する、「AnkerMake M5」の主な特徴は以下です。
- PowerBoost™技術で5倍速 (250㎜/s) の印刷速度
- AIカメラによるモニタリング
- 約15分の簡単組み立て設計で初心者にもおすすめ
- アプリで簡単に印刷設定・モニタリング
- オートレベリング機能搭載
抜粋元:AnkerMake M5 | 3Dプリンタの製品情報
詳しいスペック表はこちら(クリックタップで開く)
サイズ | 約50.2 x 43.8 x 47cm |
---|---|
重さ | 約12.6kg |
接続方式 | Wi-Fi / Type-C USBメモリ |
電源 | AC 100-120V / 350W |
パッケージ内容 | 本体、ネジ、電源コード、フィラメント150g 工具、クイックスタートガイド、安全マニュアル 12ヶ月保証 、カスタマーサポート |
製品型番 | V81115C1 (ブラック) |
プリント方式 | FDM (Fused Deposition Modeling「熱溶解積層法」) |
プリントサイズ (LxWxH) | 235 x 235 x 250mm³ |
プリント速度 (標準) | 250mm/s |
操作速度 | 50 - 250mm/s |
プリント加速度 | 2500mm/s² |
プリント精度 | ±0.1mm |
ポジショニング精度 | XY=12.5um, Z=2um |
最大ノズル温度 | 260℃ |
最大ヒートベッド温度 | 100℃ |
タッチスクリーン | 4.3インチ |
対応ノズル径 | 0.2mm / 0.4mm / 0.6mm / 0.8mm |
対応素材 | 1.75mm PLA, TPU, ABS, PETG |
オートレベリング | 対応 / 49 (7 x 7) ポイント |
ヒートベッドの素材 | PEI ソフトマグネットシート (スチール製) |
AIカメラ | ○ |
対応スライスソフト | AnkerMake Slicer / Simplify 3D / Ultimaker Cura / PrusaSlicer |
スライサー対応ファイル形式 | STL / OBJ |
筆者がクラウドファンディングにプレッジ(支援)して、2022年12月末に先行して手に入れた直後のツイートがこちら。
組み立て後のAnkerMake M5は、グレーとブラックのツルリとした金属製のボディが特徴です。この洗練されたデザインは従来の3Dプリンタにはない印象でした。その分、本体サイズが大きく、しっかりした作りの3Dプリンタになっています。
大きさ(本体サイズ/造形サイズ)


本体サイズ | 最大造形サイズ | |
---|---|---|
横 | 502mm | 235mm |
奥行き | 438mm | 235mm |
高さ | 470mm | 250mm |
重さ | 12.4kg |
(フィラメントホルダー含まず)
正直なところ、AnkerMake M5の本体サイズは少し大きめです。以下の通り、筆者が保有する中では一番大きい3Dプリンタになっています。


Prusa i3 MK3S+(左)、Ender-3 Pro(中央)、AnkerMake M5(右)
外観
見た目に見えるケーブルはわずかで、レールなどの可動部がほぼボディで覆われています。その結果、スッキリした印象を感じるボディになっています。


AnkerMakeの両サイドは、ほとんど出っ張りがないのも特徴です。


AnkerMake M5の右側と左側
AnkerMake M5を上から見下ろしたときには、プラットフォームからはみ出るものがなく、スッキリした様子です。


AnkerMake M5のプラットフォーム部分を詳しく見ますと、次のようになっています。


ベッドの稼働
AnkerMake M5のベッドの稼働は重めで稼働音が鳴りますが、比較的スムーズに動作します。以下の動画でチェックしてください。(ベッドの稼働をチェックするところから再生が始まります)
フィラメントホルダー
AnkerMake M5には、フィラメントホルダーを取り付ける場所が2箇所あります。設置場所によって変更すると良いようで、稼働しやすさに違いはありません。これはAnkerMake公式の動画をチェックすると良いでしょう。
この他の同梱物には、工具やスペアパーツが付属しています。




写真中の番号 | 名称 | 標準同梱 |
---|---|---|
1 | フレーム | ○ |
2 | プラットフォーム | ○ |
3 | 説明書 | ○ |
4 | フィラメントホルダー | ○ |
5 | ツールボックス | ○ |
6 | M5ネジ (フレームのモーター周辺用) | ○ |
7 | M2.5ネジ (USB Type-Cケーブル固定用) | ○ |
8 | M4ネジ (フィラメントホルダー固定用) | ○ |
9 | ノズル スペア (0.2/0.4/0.6/0.8mm) | |
10 | ベッドシート | ○ |
(写真にない) | スペア ベッドシート |
筆者はクラウドファンディングで手に入れたため、正式発売にはないスペアパーツがいくつも同梱されていました。正式発売時に同梱される物品とは少し異なる点、ご理解ください。
AnkerMake M5 レビュー
筆者が3Dモデル数十個を実際出力した結果に基づいて、AnkerMake M5の良かった特徴について、実例を交えて紹介します。
特徴1. 印刷速度5倍ながら高精度の出力
AnkerMake M5は高速出力と高精度を両立する3Dプリンタです。これらはPowerBoost™技術と強力なモーター、ダブルベルトによって実現します。その出力速度は250mm/sと公称しています。また、オートレベリング機能が安定した高精度出力を実現してくれます。
AnkerMake M5が実際に出力する様子は、以下の動画をご覧ください。(3:24 出力開始から再生)
この動画で紹介した通り、3DBenchyは45分14秒で出力できました。手持ちの従来3Dプリンタでは2倍以上の出力時間がかかります。
3Dプリンタ | 出力時間※ |
---|---|
AnkerMake M5 | 45分 |
Prusa MK3S+ | 94分 |
Creality Ender-3 Pro | 97分 |
(0.2mmレイヤー/インフィル20%)
出力精度も良好で、速いからといって粗くなることはありませんでした


AnkerMake M5では0.6mmノズルや0.8mmノズルも使えるため、さらなる高速化が望めます。特に0.8mmノズルとの組み合わせは強力です。これまでの一般家庭用3Dプリンターと比較しますと、圧倒的に生産性を向上できます。
AnkerMake M5 の特性として、横に広い3Dモデルよりも背の高い3Dモデルが得意です。これは他の3Dプリンタと比較してみますと、その差が際立つ結果となりました。
出力モデル | AnkerMake M5 | Prusa i3 MK3S+ | 時間差 |
---|---|---|---|
プレート 150mm × 150mm × 1.5mm | 約41分 | 約119分 | 約78分 (約2.9倍) |
ポール 半径20mm × 150mm | 約77分 | 約251倍 | 約174分 (約3.5倍) |
これはAnkerMake M5のZ軸モーターとベルトが、従来機種より進化したことを意味しています。
余談ですが、高速出力できるということは「積層ピッチ(出力の厚さ)」を薄くしても、短時間で出力できるわけです。以下は筆者が実際に AnkerMake M5で出力した高精度な3Dプリント品たちです。














ご覧いただいたようにAnkerMake M5は、高速出力と高精度を両立できる3Dプリンタで高い生産性を実現してくれます。



毎日 大物出力し続けることも不可能じゃなくなるよっ!
特徴2. 組み立て簡単!10分で組み立て完了
AnkerMake M5はその大きさの割に組み立てがめちゃくちゃ簡単です。
紙の説明書も同梱されていますし、以下のURLからダウンロードして確認もできます。
※ページ下方から説明書がダウンロード可能
また、正規の手順は公式動画でも紹介されています。
これらの手順に従って、筆者が実際に組み立てた様子がこちらの動画です。(0:36 組み立てより再生)
ご覧の通りにプラットフォームとフレームを組んで固定するだけ。正味10分で組み立ては完了しました。
特にフレームを梱包材に乗せたまま、プラットフォームに差し込む手順が秀逸です。こんなに重い3Dプリンタの組み立ての大変さを最小限にして、ケガする危険がほとんどありません。


必要な工具はすべて付属しているため、別途工具を購入する必要がないのも気配り満点です。



自分は電動ドライバーを使ったけど、正直いらなかったよ
付属の工具でノズル交換も簡単にできます。筆者はクラウドファンディングで標準サイズ以外のノズルも購入しており、それらの交換に重宝しています。この手順はAnker公式動画チャンネルで公開されており、5~10分で交換できる簡単さです。
Wi-Fi などソフトウェアの初期設定はスマホアプリで行います。こちらも筆者はまったく迷うところはありませんでした。実際に設定した様子は以下の動画をご覧ください。(1:22 スマホアプリのセットアップより再生)
この他にもAnker公式動画チャンネルでは、以下の紹介動画が公開されています。これで初心者であっても、操作に困ることはありません。
ここで紹介したように、初心者でも組み立てから使い始めるまで迷わない簡単さが、AnkerMake M5の魅力です。



日本語情報が揃っているから3Dプリンタ初心者でも安心だ
特徴3. タッチパネルが操作しやすい
AnkerMake M5はタッチパネルの操作性の良さも特徴の1つです。


このタッチパネルの操作性の良さを裏付けるのは、以下の点が挙げられます。
- 違和感のない正しい日本語表示
- すべてカラー表示で直感的にタッチ操作可能
- タッチ感度や動作速度もストレスナシでスムーズ
- 出力操作から設定操作、Wi-Fi接続、ファームウェア更新まで実施可
- エラー時はAIカメラの撮影画像を表示してくれる
- ビープ音でのお知らせ機能も搭載(ON/OFF設定可)



カラー+日本語表示だけでも、従来3Dプリンタから大幅な進化を感じるね
実際のセットアップ画面では、次の日本語インストラクションが表示されて分かりやすいです。


実際の操作画面も、日本語かつ直感的でシンプルなボタン表示になっており、迷うことはありません。


ホーム画面(左)、エクストルーダ位置操作(中央)、オートレベリング(右)
後述する通りAnkerMake M5はスマートフォンでも操作できますが、緊急停止や軽い操作はタッチパネルの方が便利です。ダイヤル式よりも直感的で、素早く操作できるのは初心者でも上級者でも嬉しいところ。
またこのタッチパネルからなら、面倒なファームウェア更新も簡単です。これで誰でも簡単に最新状態に維持できます。


このようにAnkerMake M5のタッチパネルは、初心者への敷居を下げつつ、ユーザー全員の3Dプリンタ運用を向上できる機能です。



よく分からない日本語や英語の画面じゃないだけでも嬉しいよ
特徴4. スマホでリモート管理が便利
AnkerMake M5では、スマートフォン専用アプリ「AnkerMake」(iOS/Android)が提供されています。このアプリを使えば、家庭内だけでなく、外出先からも3Dプリンタ管理ができるので便利です。


AnkerMakeアプリから実行できる主な機能は以下です。こちらも日本語の操作画面になっています。
- リアルタイム監視(カメラでの出力確認/録画など)
- 3Dプリンタ操作(出力開始/予熱/など)
- 3Dプリンタ設定(名前/Wi-Fi接続/AIカメラなど)
- 撮影したタイムラプス動画管理
- 複数AnkerMake M5の管理
- スマートデバイス/Alexa連携



これまでの3Dプリンタにはない、便利なスマホアプリで助かってるよ
AnkerMakeアプリを開きますと、以下の画面から3Dプリンタを操作できます。日常的に必要な操作はすべてアプリから実行できるわけです。


ホーム画面(左)、出力中画面(中左)、予熱操作(中右)、コントロール(右)
AnkerMake M5が出力中であれば、上記の画面で動作状況を確認できます。また、下記の写真にもある通り、実際の出力の様子も自宅外から確認できます。


リアルタイム監視(左)、設定(中左)、タイムラプス管理(中右)、Alexa連携(右)
写真の通り、3Dプリンタの設定やタイムラプス動画の管理、スマートデバイス(Alexa)への連携もAnkerMakeアプリから実行可能です。



必要な機能は網羅されているね!
出力完了やエラーは、AnkerMakeアプリがスマホへ通知してくれます。また、iPhoneを通してApple Watchに通知してくれることも確認できました。
ここで紹介したAnkerMakeアプリで、AnkerMake M5は遠隔操作可能な3Dプリンタになっています。



従来の3Dプリンタから利便性が大幅アップしてるよっ!
特徴5. 安全なボディ設計
AnkerMake M5のボディは安全な設計になっているのも、重要な特徴です。
まずは AnkerMake M5 と、筆者手持ちの安価な3Dプリンタ「Ender-3 Pro」との比較写真をご覧ください。


AnkerMake M5は出っ張りが少なく、どこを触っても問題なしです。可動部を除けば、どの場所がツルツルボディで覆われていて、不意に手や身体が当たっても安心です。
一方、Ender-3 Proは出っ張りが多い上に、ケーブルがむき出しです。実際に利用していますと、手や身体を金属フレームやケーブルに引っかけてしまい、ヒヤッとした場面が何度もありました。



実際、Ender-3 Proに手をひっかけてケガしたよ
特に3Dプリンタの一番上、「Z軸」と呼ばれるアームの角に注目してください。次の写真を見れば一目瞭然、ここが最も差が大きい部分です。


AnkerMake M5は保護パーツで滑らかですから、ちっとやそっと触っても何も起きません。一方、Ender-3 Proは不用意に触るとケガをするくらい鋭いです。後ろのスクリューポールも刺さりそうで怖いものがあります。
3Dプリンタ上級者はともかく、初心者に安心な設計が良いポイントです。もちろん、従来の3Dプリンタの中には、しっかり保護されている製品(箱形3Dプリンタなど)はありました。しかし、AnkerMake M5 ほど機能性と低価格をを両立させつつ、安全設計まで施されているのは珍しい3Dプリンタと言えます。



うちみたいに小さな子供がいる家庭は、こんな安全設計だと安心だよね
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AnkerMake M5 イマイチなポイント
筆者が数十個を出力した結果から、AnkerMake M5のイマイチだったポイントを率直に紹介します。
イマイチ1. AIカメラがまだ発展途上


AnkerMake M5の特徴は「AIカメラ搭載」ですが、筆者はこのAIカメラがイマイチだと感じました。その理由は以下の点です。
- エラーを検知する精度が良くない
- フィラメント切れを検知してくれない
- 撮影画角が固定で良くない
1のエラー検知はオンオフやや検知精度の調整ができるため、致命的な問題ではありません。また、2のフィラメント切れ検知も、搭載されているフィラメント切れセンサーの精度が上がれば良い問題です。本来はAIカメラの問題ではありません。



きっとそのうちファームウェア更新で改善されるよ
しかし、「撮影画角が固定でよくない」点はどうしようもありません。これはAnkerMake M5の操作パネル脇にAIカメラを設置した弊害です。


上の写真でわかるようにAnkerMake M5のAIカメラは、ヒートベッドを横からしか撮影できない仕組みです。この位置からAIカメラでリモート監視した画像とタイムラプス動画は、筆者のTwitterで公開しています。
AnkerMake M5のAIカメラでリモート監視ができるのは良い特徴ですが、全体が見渡せる画角ではない点が弱点です。この位置が原因で、死角が生まれやすく、エラー検知できる範囲が狭い問題は改善できません。



AIカメラのエラー検知はあくまで補助と考えた方が良さそう
ただし、AIカメラは従来の3Dプリンタには無い機能です。つまり、AIカメラのエラー検知機能がAnkerMake M5特有の長所には変わりありません。つまり、エラーを発生させないよう出力前に、しっかり準備しておけば致命的な問題にはなりません。


AIカメラのエラー検知精度はさておき、画像や動画で状態を確認できるのは便利です。
イマイチ2. ファンの音が大きい
筆者が感じたAnkerMake M5最大の弱点は、ファンの音が大きい点です。動画で見ても、明らかに動作中のファンの音が大きいです。
別の3Dモデルを出力したときの騒音はTwitterでも公開しています。
キレイに成形するにはファンで冷やす必要があるため、ある程度は仕方ありません。しかし、もっと静なファンを採用して欲しかったです。恐らくここはコスト削減の対象になったのだと推測しています。
さらに出力していないときのファンの音も大きめです。これは出力していないときも電源などのファンが回転しているためです。
Prusa MK3S+は出力していない時にはファンが完全に止まって無音になります。AnkerMake M5は静音性ではPrusa MK3S+に見劣りするのが事実です。



今後ファームウェア更新での改善を期待したいね
イマイチ3. タイムラプス撮影の自由度が低い
AIカメラの搭載位置により、AnkerMake M5はタイムラプス撮影の自由度や精度が低いです。
この課題については、以下のタイムラプス動画をご覧ください。
この動画では「エクストルーダが動き回って鬱陶しい動画」になってしまっています。これは以下のタイムラプス動画と比較すると、違いが一目瞭然です。
3Dプリンタのタイムラプス動画は、ヒートベッドに3Dモデルが生えてくるように撮りたいものです。それが実現できないのは、3Dプリンタ タイムラプス動画ファンとして残念でなりません。
他にも以下のタイムラプス撮影が実現できないことが分かっています。
- 好きな画角でのタイムラプス撮影ができない
- 2つ以上のカメラで同時タイムラプス撮影できない
- タイムラプスの品質/解像度/FPSが選べない
タイムラプスの品質や解像度、FPSはファームウェア更新で改善されるよう期待したいところです。



タイムラプス撮影は改善の優先度が低そうだけどね
AnkerMake M5 よくある質問
AnkerMake M5の速度は?
最大速度は250mm/sです。
実際の出力速度は2~3倍です。つまり、出力時間は半分~3分の1になると考えてください。詳しくはこちらで紹介しています。
これは最大速度は公称250mm/sですが、加速や停止を繰り返すため、必ずしも最大速度で出力し続けられるわけではないためです。出力全体で平均すると2~3倍の出力速度になると考えてください。
AnkerMake M5の出力精度は良いの?
出力精度は良いです。こちらで紹介した通り、十分実用出来る精度です。ただ、ズバ抜けて良くもなく、同じ積層ピッチならPrusa MK3S+相当です。
ただし、出力スピードが速いため、同じ時間でより薄い積層ピッチで出力可能です。つまり、AnkerMake M5はその高速さによって、従来3Dプリンタより出力精度を高められます。これは以下の実験で筆者は証明しましたので、気になる方はチェックしてくださいね。
AnkerMake M5の価格は?
¥99,990 (税込)
AnkerMake M5の発売日はいつ?
2023年3月7日でした。既に発売済みです。
AnkerMake M5のサイズは?
本体サイズは 横幅 502mm × 奥行き 438mm × 高さ 470mm。
最大造形サイズは、横 235mm × 奥行き 235mm × 高さ 250mm。
本体の重さは12.4Kg。
AnkerMake M5ってあの「Anker」ですか?
そうです。モバイルバッテリーや充電器を販売している「Anker」です。
AnkerMake M5でOctoPrintは使える?
残念ながら使えません。AnkerMakeスライサー経由、もしくは直接USBメモリでGコードを読み込ませる必要があります。
AnkerMake M5でCuraやPrusaSlicerのGコードは使える?
使えます。AnkerMakeスライサー経由、もしくは直接USBメモリでGコードを読み込ませる必要があります。
例えば、以下のPrusaSlicerでスライスしたGコードは、AnkerMake経由で読み込めるのは以下の手順です。


AnkerMake M5が約10万円は高くありませんか?
以下と比較すると、最新の高速3Dプリンタという観点では妥当、むしろ安いくらいだと筆者は感じます。
モデル | 価格 |
---|---|
AnkerMake M5 | 99,900円 |
Prusa MK3S+ 組み立てキット ※高速出力不可 | 129,800円 |
Creality Ender-7 | 101,750円 |
SIBOOR Voron 2.4 | 177,000円 |
bambu Lab P1P | 日本販売なし |
AnkerMake M5はうたい文句が盛りすぎでは?
保有する筆者視点では、まったく誇張されていません。
AnkerMake M5はキチンと高速高精細な出力が可能です。 例えば、「AnkerMake M5は積層ピッチ 0.1mmで常時運用できる」といえば、従来3Dプリンタ(Prusa MK3SやEnder-3など)ユーザーなら、凄さが分かるはずです。
AnkerMake M5の「一般的な3Dプリンターと比べて5倍の速度でプリント可能です」は言い過ぎでは?
AnkerMake M5公式ページで前提条件が説明されています。
プリント速度50mm/sの3Dプリンターと比較した場合
AnkerMake M5 | 3Dプリンターの製品情報
筆者保有のPrusa MK3S+やCreality Ender-3 Proは、プリント速度は55mm/sが推奨されています。それらと比べて約5倍というのは、あながち誇張しすぎではないでしょう。
AnkerMake M5 レビューまとめ
本記事は「【AnkerMake M5レビュー】高速3Dプリンタで生産性が2倍以上になった」について書きました。今回、筆者が感じたAnkerMake M5の長所・短所は以下です。


AnkerMake M5は2023年3月に販売開始される予定です。必ずしも万能3Dプリンタというわけではありませんが、高速性/高精度/高い操作性のバランスの良さでは、従来3Dプリンタを大きく引き離しています。


Ankerの3Dプリンタってだけで安心できるよね
出力の遅さに不満を感じる3Dプリンタユーザーはもちろん、3Dプリンタ初心者にもオススメできる製品になっています。以下から詳細な情報をチェックしてみてください。
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ITエンジニア歴18年の3Dプリンタブロガー。
3Dプリンタで作った物をSNS投稿するのが趣味。自らが便利だなと感じたことは、誰かにシェアせずにはいられない性格。このサイトに掲載した情報が少しでもお役に立てば幸い。 (English OK)
匠の3D作品は以下をチェックしてください。
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